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『借地権付き建物』とは?

2025.04.13 UP

『借地権』という言葉をご存じでしょうか?
『借地権』と聞くと『建物は自分の物で土地は地主のもの』『建物に住めなくなったら地主に返さなくては』『地主とうまくいかなかったら、追い出されてしまう』等の賃貸住宅に近いイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。その為、戸建て住宅を探してみると、『借地権』という言葉だけで除外してしまってはいないでしょうか。

弊社は、借地権の管理業務も行っている会社の為、『借地権付き建物』のメリット・デメリットを実際の経験も踏まえてご説明していきたいと思います。

『借地権付き建物』のメリット

『借地権付き建物』における『借地権』とは『賃借権』を指す場合が多く『建物を所有する目的で土地所有者(地主)から土地を借りる権利』のことです。
これは、単に地主から土地を返してと言われたら返さなくてはならない。借りて使わなくなったら返す。という簡単なものではなく、この権利は、土地の『権利割合』が決められており、それを基にした『資産価値』が伴うものになります。つまり、借地権者は、建物の価値の有無によらず、その権利を第三者に売却をしたり、地主に買い取ってもらう事もできます。

下の図のように、『借地権付き建物』を購入した場合は『建物+借地権』を購入した事となり、『底地権』を地主が持っている(底地権者)という状態になります。地主との間で賃貸借契約を交わすことで『借地権者』となり、そこで借地面積、借地期間や地代等の取り決めを行います。

また、土地に設定される『借地権』には『旧法借地権』と『新法借地権』があり、それぞれ更新期間が違いますが、特に『旧法借地権』の場合では、20年ごとに更新をすることで半永久的に住み続けることもできますし、建替えや相続もする事ができます。
長い期間の中で、地主側から底地購入の話が持ち上がることも珍しくはなく、その際、底地を購入した以降は土地と建物のすべてがご自分のものとなります。
しかしながら、地主がお寺といった場合は、底地を買取るチャンスはほぼないので、底地買取りを期待しての借地権付き建物購入はお勧めは致しません。

このように、『借地権付き建物』のメリットとしては、同じ広さの建物を所有権と比較した場合には、『販売価格が安くご提供出来る』、同じ価格で所有権と比較した場合『好立地』であったり『建物の大きさが広い』といったものがあげられます。

大きなメリットがある分『借地権付き建物』も住宅探しの選択の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
ただし、気を付けなければならない点もある為、十分理解し検討されることをお勧めいたします。


【チェック】『借地権付き建物』の成立要件(大前提)には、『どんなに古くても建物が存在している事』がマストとなります。古くなったからと言って、地主に許可なく壊してしまった時点で借地権が消滅する場合もございますのでご注意を。

【チェック】借地権者は、譲渡(売却)・転貸・建替え・増改築・相続等、何かしようとする場合は必ず地主が委託している管理会社・不動産会社に相談をすることをお勧めいたします。地主の承諾なく行ってしまうとトラブルとなってしまう事があります。『事後報告はダメ』これだけは守ってね。という事です。

『借地権付き建物』の気を付けなければならない点

『借地権付き建物』を購入する上で理解をしておく必要がある点としましては、地主よりの様々な制約を受けるという点です。地主からすると、一度土地を貸し出すと長い期間ご自身で使用することはできない為、貸し出すにあたり予め約束事を決めておかなければなりません。
【地代】
土地の固定資産税・都市計画税は、地主が支払うべきものとされています。その為、自分で使用しない土地の税金を支払う代わりに、借地権者に対し毎月地代を請求することとなります。この地代は、土地の評価額に応じる場合が多く、評価額の上昇に伴い地代の値上げが生じる場合も少なくありません。
住宅ローンとは別に月々のコストとして係るものになる為、マンションの管理費と同じく購入後の支払い設計を立てる必要がございます。
【更新料】
旧法借地権では20年後、新法借地権では30年後に更新の選択が出てきます。住み続ける場合は、地主に更新料を支払うことで、借地権期間の更新を行う事が出来ます。通常、旧法借地権の場合は20年、新法借地権の場合は20年としていることが多い様です。更新料の目安については、固定資産税評価額の5~10%といった考え方がよく言われますが、実際は、地主の考え方によるところが多く、必ずしも計算通りというわけではないので、地主や管理会社への確認をしておくことが大切です。
【承諾料】
借地権の場合、何をする場合も地主の承諾を得ることが大切です。売却をする時、建替えや増改築をする時、第三者に貸して家賃収入を得るときなど、購入時と状況が変わってしまう場合は、地主に承諾料を支払うことでスムーズに行うことができます。それぞれ承諾料の設定が違う地主もいますので予め確認しておくことが重要です。また、地主によっては、木造住宅は建築してよいが、RC造の集合住宅はNGといった再建築についての成約があることが多いのでその点もご注意しておいてください。

【ポイント】
確認することが多く難しいと思われがちですが、地主がお寺や神社古くからの大地主の場合、明確に取り決めがある事が多い為、将来更新のために月々5,000円の積み立てをしておこうなどの計画をきちっとしておけば、トラブルになるケースも少ないのではないでしょうか。


『借地権付き建物』はきちんと借地権についての理解をしてさえいれば問題が起きることも少ないと弊社では考えます。
実際住んでいる間はストレスなく快適に暮らせるものが多く、所有権だからといってもご家族構成やお子様の成長に伴い、すぐに手狭になってしまうといったケースも少なくありません。
また、一度の更新をすると築40年以上まで住めるという意味では、一世代の更新は人生1度きりという解釈もできます。
住宅購入の大前提が、『快適な日常』を条件とされる方にとっては、住宅探しの選択肢に入れておくべきだと考えます。